やぎさわカフェ

やぎさわカフェ

カフェ


「気負わないで来てほしい」


インタビュー先:やぎさわカフェ
 電話番号:0192-47-3500
 営業時間:10:00〜19:00(ラストオーダー18:30)
 定休日 :毎週月曜日(祝日の場合はその直後の平日)


■ほっと息をついてもらえる空間を。


 ダークブラウンを基調とした店内は、アバッセ内でも落ち着いた空間のひとつ。今日も人々がここで思い思いの時間を過ごしている。ここ“やぎさわカフェ”は隣接する市立図書館とひとつづきになっており、蓋つきのドリンクはそのまま図書館への持ち込みが可能だ。図書館の一部、カフェの一部としてお互いに空間を共有しあっている。
 “やぎさわカフェ”アバッセたかた店では、老舗醸造蔵八木澤商店ならではの醤油を使った「しょうゆキャラメルソース」のメニューがイチオシ。この「しょうゆキャラメルソース」は、醤油によってキャラメルの甘さがくどくなく、一度食べたら病みつきになってしまう。このソースは、「しょうゆキャラメルマキアート」と「しょうゆキャラメルバナナワッフル」の2つのメニューで味わうことができる。アバッセたかた店では、“やぎさわカフェ”初の試みとなるワッフルにもこだわっている。ワッフルには米粉が使用されており、外はパリパリ、中はもちもちふわふわで、見た目のボリュームの割にはぺろっと平らげられてしまう。ドリンクメニューもワッフルメニューも種類が豊富に揃っているが、迷ったらぜひこの2つをセレクトしてみてほしい。


「しょうゆキャラメルマキアート」と「しょうゆキャラメルバナナワッフル」

■これまでの歩み
 八木澤商店は200年以上の歴史を誇る、老舗の醸造蔵。
震災当時の様子を伺った。当時は、本店の近くの集会場にて幹部会議をしていた最中に地震が起きた。会社では年に2回の避難訓練が行われていたため、いつも通りの避難経路で避難をし、全員が無事であったという。しかし、工場などは全て流されてしまい、代々引き継がれてきた醤油をつくるためのもろみを失ってしまった。諦めかけていたその矢先、釜石の試験場で保管されていた八木澤商店の醤油のもろみが見つかったことで、途切れることなく八木澤商店の醤油作りを復活させることが出来たという。
奇跡の一本松にあった”やぎさわcafe”
そして、震災後10ヶ月で商品の販売を再開させた。その後大原(一関市大東町)に工場、陸前高田市矢作に本社兼店舗を構えたが、元あった土地にも店舗を残したいということから、“やぎさわカフェ”一本松店ができたという。その一本松店で、ヒットしたメニューがしょうゆソフトクリーム。一本松店ではゆっくりしてもらいたいが、スペースの確保が難しかった。そのため、ここアバッセたかた店では、ゆっくりと座って長居できるような空間作りにこだわっている。



■店から変わっていく街の景色が見える


 アバッセの入居については、アバッセの理事長から声がかかったという。
 もともと工場で働いていたこともあり、アバッセたかた店の作業は慣れないことが多く最初は戸惑うことも多かったという。また、こちらのお店は外に面してガラス窓になっており、店に立っていると、外の景色が見渡せる。震災後は、暗くなると街灯もなく真っ暗な景色が広がり、海は見えない、埃とダンプだらけになってしまった街。自分の街であったのに、遠い知らない街のように感じてしまっていたという。しかし、最近になってくると、灯りが灯ったり、他のお店ができたりすることで、前よりも前向きな気持ちになれるという。また、公園ができ、子供達の笑い声も聞こえるようになったことで、若い元気なエネルギーがとても救いとなっているそうだ。

■私たちは元気だから。そんなに気負わないで。気軽に遊びに来てほしい。


 「陸前高田市」と聞くと、どうしても「街がなくなった、甚大な被害を受けた」ということが後について回ってしまうこの地であるが、ひとつの街として楽しんでほしい。それが私たちスタッフの願い。「陸前高田に遊びに来て、遊び疲れたらここでゆっくりしていってね」と笑顔で語ってくれた。
 あなたはここでどんな時間を過ごすだろうか。


インタビュアー 岩手大学人文社会科学部 3年 kika 
インタビュー実施日 2017/11/4
陸前高田に通い始めて3年。月に一度くらいの頻度で陸前高田の地に足を運んでいる。陸前高田の日々変わっていく街並みを見ること、美味しいものが食べることが楽し、嬉しい。