居酒屋 膳 

居酒屋 膳

居酒屋・ら~めん

「食は命をつなぐ」

インタビュー先:居酒屋膳 武藏和敏さん

電話番号:0192-22-7021
営業時間:11:00~14:00, 17:00~24:00
定休日 :第2木曜日・第4木曜日



■昼は味噌らーめんと三陸らーめん 夜は炙り焼きを!
 膳さんは、昼はラーメン屋、夜は居酒屋として営業している。昼のイチオシは「武藏味噌ら~めん」。そして県外からのお客さんには、「三陸ら~めん(塩味・醤油味)」をおすすめしたいとのことである。後者は、炭火で炙った厚切りチャーシューが自慢の逸品、ホタテ、メカブ、マツモ、ワカメなどがたっぷりはいった三陸地域ならではのラーメン。また夜のお店の名物は「わらの炙り焼き」。和牛やカツオ、カジキなど旬の食材を豪快に炙っていただく、味も見た目も実に贅沢な逸品である。名古屋にある居酒屋膳・平針店の系列店にあたる。店長の武藏和敏さんが名古屋に修行に行き、レシピを身に付けて帰ってきた。


武藏味噌ら~めん
三陸ら~めん
炙り焼きで腕をふるう武藏さん

■建設業25年勤務
膳を営む武藏さんは、陸前高田市の気仙町長部地区で生活をしている。人なつっこい笑顔の持ち主である。震災前は25年間建設業に従事しており、震災時には大船渡市内で現場監督を務めていた。震災の二日前に起きた地震の際にはマニュアルに則って避難。点呼をとったときに一名足りず、話をしていて避難が遅れたと聞き、叱った。これが訓練となった。3月11日の地震。立っていられないほどの揺れを感じた。川の底が見えた。これは大きな津波が来ると思った。そしてこのときはみんなでしっかりと逃げることができた。12名の作業員全員の命を救えたことは誇りになっているという。一つ間違えればという可能性が十分にあった中での判断。なんという怖さだったことだろう。


■自然災害に人はかなわない
自宅に帰るために歩き始めたが、道がない。がれきの上を歩いた。本当に過酷な移動であった。情報もない。そして山中の農免道を歩いていたときに、市街地があった方を上から見たときの光景は忘れられない。自分たちが作ってきた建造物は何も守ることができなかった。自然災害は、人の力などはるかに超えてしまうのだ・・・。

■命をつなぐのは食
 2011年4月頃、市内の大きな仮設住宅団地で炊き出しがあった。素うどんの炊き出しであった。みんな涙を流して食べていた。まさに命をつなぐのは食。そんななか、陸前高田にやってきたアイリスオーヤマの大山社長に背中を押された。飲食業を始めよう。心が決まった。東北未来創造イニシアティブの人材育成道場に第1期生として入門した。

■アバッセに出店して
ショッピングセンターなどでの飲食店運営を経て、当初から念願であった個店を出すためにアバッセたかたでの出店を早い段階で決意。夜まで人が集える場所にしたかった。迷いはなかった。そして本当によかったと考えている。
高田のまちを構成する店同士で知恵を出し合いながら協力して、近くからも遠くからも来てもらえるようにしていかなければと将来を探っている。

■全国の人たちの居場所に
どんな店でありたいかという問いに「おいしいラーメンを食べて、おいしいお酒を飲んで、語り合ってほしい。そして元気を与えられる店でありたい」と武藏さんは答えた。
武藏さんの住まいする長部地区は、サッカー元日本代表の加藤久さんやなでしこJAPAN、川崎フロンターレの選手をはじめサッカー選手たちとの交流が深い。膳さんの店内にも、サッカー関係者から応援される店となっている。そして、同じく気仙町要谷には震災後神奈川大学の学生たちが継続的にやってきて、はまっこ祭りに参加してくれている。
震災後の全国からの支援者がいなかったら今の自分たちは存在しない。そんな陸前高田を支えてくれた人たちの居場所になるような店にしたい。そして店の体力をつけて、全国で何かあったら助けにいけるようになりたい、それが武藏さんの願いである。

 膳さんに入ると、いつもホッとするような空気が溢れている。店員さんも和やかに接してくれる。夜にはがやがやと居酒屋らしいざわめき。そこには日常がある。こうした日常の雰囲気はしかし、当たり前のものではない。波乱の人生のなかで挑戦し続けている武藏さんの努力と人柄が作っているものである。


居酒屋膳 店内


インタビュアー:S.G.(岩手大学教員)
インタビュー実施日:2017/11/4
東京出身です。盛岡にきておよそ23年。陸前高田に通い始めてからも6年になりました。震災後は遺構と瓦礫の山だらけであったまちに、とうとう中心市街地がうまれはじめています。将来に不安を持ちつつ、それでもこの陸前高田を愛し、日々、頑張りながら笑っている人たちのことがぼくはとても好きです。以前から存じ上げてはいましたが、武藏さんとはじめてゆっくり話すことができたのは今回が初めてで、とても嬉しかった。居酒屋膳さん、たかたのど真ん中で今日も頑張っています。