毛糸・手芸品・婦人服 スタイル


スタイル

毛糸・手芸品・婦人服

「復興することを夢見て」

インタビュー先:スタイル 新山さん
 
電話番号:0192-54-4707
営業時間:9:00~19:00
定休日 :なし(全館休館日のみ休み)

お店に入ると真っ先に目に映るのはこの鮮やかな吊るし雛!

■手芸品専門の店
 取材当時の寒かった外の空気を思わず忘れてしまうぐらい、暖かみがあふれている「スタイル」は、毛糸・手芸品・婦人服の専門店である。創業した30年前から現在まで変わらず、手作りの手芸品を取り扱っている。
 店の前に行くと、赤とピンクの鮮やかな色合いが印象的な吊るし雛が出迎えてくれた。中に入り、店内を見渡すと編み物で使う毛糸やフェルトやアクセサリー、更には婦人服など、手芸や服が好きな人にとってはたまらない商品が売られている。取材当時はクリスマスが近かったため、レジの後ろには従業員全員で作ったサンタを模したフェルトの作品が飾られていた。


レジの後ろにあったのは、クリスマスにあわせた手芸の人形などが。
よく見るとカボチャにサンタの帽子が!

■もう一度、陸前高田で店を開きたい
 スタイルはもともと大船渡市を中心に3店舗経営していた。しかし、2011年に東日本大震災が発生。お話を聞かせていただいた新山さんは、地震の揺れの強さから津波が来るだろうと判断し、従業員、お客様と共に避難した。新山さんが勤務していた大船渡市盛(さかり)地区にあるサンリアビルの店舗は、1階に水が入った程度で済んだものの、残りの大船渡市内と陸前高田市内にあった2店舗は営業ができないほどの被害を受けてしまった。
 それでも、高田の「スタイル」は、2013年に竹駒にある未来商店街に仮設店舗を設けて営業を再開した。その際は「中心市街地に移転するつもりでいた」、と新山さんは語ってくれた。しかし、アバッセたかたへの移転には苦労や葛藤があった。どこから資金を調達すればよいか、もう一度地震や津波が来てしまうのではないか・・・。それでも社長・従業員は、何も無くなってしまった陸前高田の復興を夢見た。「陸前高田で店をもう一度開きたい」、そう考えると、迷いは無くなった。


竹駒の未来商店街の様子

■アバッセに入店して
 2017年4月のアバッセたかたオープンとともに、「スタイル」も無事入居を果たした。入居した初日、営業が軌道に乗るか不安だったが、以前から訪れてくれていたお客様からは「待ってたよ」と声をかけてもらったり、災害住宅に住んでいる新規のお客様も訪れてくれた。アバッセたかたに入居してよかったと実感した瞬間だったと言う。将来の陸前高田への思いを聞くと、「どんどん周りが出来ていますが、もっと人が集まるようになってほしい」、そして自分たちも「少しでも復興の力になれれば」と答えてくれた。


色とりどりな毛糸が売られている
●「高田に来てください」
 この記事を見ている人に伝えたいことは何かと問うと、「高田に来てください」と新山さんは答えた。買い物で陸前高田に足を運ぶ人も増えているが、買い物に来るだけでなく、復興している様子も見に来てほしいとのことである。
アバッセたかたに入居後、被災者の方と繋がりを持つために図書館で編み物の講習会を実施するなど、新たな絆を紡ぐ試みも始めている。陸前高田のために新しいことに挑戦する「スタイル」は、今日も営業を続ける。

















インタビュアー岩手大学人文社会科学部生 太宰翠(S.D)
インタビュー実施日:2017/11/26
 宮城県出身で、岩手大学進学をきっかけに盛岡に3年住んでいます。生命倫理学や哲学を大学で勉強しています。陸前高田を訪れたのはこれが初めてでした。津波から復興している様子が、アバッセたかたの出来具合や、周りの工事現場から見て取れました。インタビュー以外ではあべやさんでソフトクリームを食べたり、伊東文具店で本のラインナップを見たり楽しい時間を過ごさせていただきました。写真は滑り台での一コマ。面白かったです!