菅野音楽教室



菅野音楽教室

音楽教室

「音楽で心に余裕を」

インタビュー先:菅野音楽教室 菅野紀子さん


電話番号: 070-2029-8881
営業時間:10:00~20:00
定休日 :日曜日

■楽しいレッスン環境
 菅野音楽教室では主にピアノとエレクトーンの教室を開いており、生徒数は合わせて49名。市内だけではなく、市外から通う生徒さんもいる。レッスン時間は基本1人30分だが、大人の場合は1時間行う時もある。毎年12月には大船渡市のサン・リアでクリスマスコンサートを開いており、日頃の練習の成果を発表する場となっている。
 楽器の経験や知識がなくても、幅広くレッスンできるように心がけている。一つの曲を完璧にするというよりも、先生とアンサンブルを行うなどして生徒さんが楽しめるような工夫がされている。
 
■これまでの経緯
栃ヶ沢の仮設にあった菅野音楽教室
  ここで教室を開いている菅野さんは、ヤマハの先生の資格を取得している。ヤマハ音楽教室からスタートし、5年ほどやっていたところで当時の生徒さんから「個人的に教えてほしい」という要望があったため、高田町(米崎町寄り)にある自宅で教室を開くことになった。生徒数は30~35人であった。
 東日本大震災の揺れにあった時、菅野さんは外出中だった。津波が来るまでに自宅に帰ってきて、一旦避難してから部屋の中を片付けようと思っていた。津波により楽器を含む全てが流出した。
 震災後1年間、菅野さんは何もできず、広田中学校で非常勤講師を務めていた。その間に、教室を再開するための場所と楽器の準備をしていた。2012年からは、栃ヶ沢にある仮設の2階でしばらく教室を開いていた。その後、新しく道路ができることになって栃ヶ沢からの立ち退きを強いられたが、通い続けたいという生徒さんがいたため、どうしようかと菅野さんは悩んでいた。そこで、市役所に相談したところ、アバッセさんを勧められて入居を決断した。 

■アバッセ入居時に一苦労
  工事を始める際、補助金を受給するために音楽教室が被災したことを確認する証明を組合に提出しなければならなった。だが、被災によって震災前の写真等が流されてしまったので、菅野さんの手元には証明できるものが何も残っていなかった。前から教室に通っていた生徒さんの保護者の中で、震災前に行われた発表会の写真やプログラムを保管している人がいるとわかり、そこから何とか証明の資料を入手することができたそうだ。
  また、周りのテナントに迷惑がかからないよう、工事で防音設備をつける必要があった。せっかくの機会ということででグランドピアノの導入も検討したが、スペースがなく断念しなければならなかったという。

■いざレッスンを再開してみると…

地震の揺れを思い出して泣き出す子供もいた。金曜日にレッスンが入っていた生徒さんからは、東日本大震災が起きた時間になると突然思い出すので、曜日と時間を変えてほしいといわれたというエピソードもある。
震災前から通っている生徒さんは、レッスンの再開で日常が戻ったと感じている。菅野さん自身、「震災前後で教え方が変わったと思う」と振り返る。「以前に比べて生徒さんに無理をさせないようになったが、子供達の様子を見ていると、その教え方が本当に正しいかどうか迷いもある」とも語ってくれた。

■アバッセの立地を活かして
アバッセ・オープン記念コンサート

以前の栃ヶ沢では道路を走るトラックの音が気になっていたが、今のアバッセの教室は安全確保ができており、夜8時でも周りを気にすることなくレッスンができる。また、レッスンの待ち時間に生徒さんの保護者がアバッセで買い物をして待つということも可能になった。

■菅野音楽教室のこれから

教室ができたから一安心。頑張らずに楽しみながらやっていきたい、と菅野さんは考えている。教室の拡大は考えていないそうだ。「今は大船渡のサン・リアで年に一度クリスマスコンサートを開いているが、アバッセの近くに市民会館ができたらちゃんとしたコンサートをやりたい」という熱い思いを私達に語ってくれた。
 菅野さんからは最後に、「音楽を習うことで心に余裕ができる。上達すると自信がつくし、頭の運動にもなる。何かトラブルが起きた時でもパニックにならなくなるのではないか」というコメントをいただいた。






インタビュアー:岩手大学大学院生 (T.O)
インタビュー実施日:2017/11/26


愛知県出身で、岩手に住んで5年目です。学部1年の頃から毎年「うごく七夕」に参加しているため、来るたびに陸前高田のまちの変化を感じています。今回取材に参加して、お一人お一人の陸前高田に対する思いの強さを感じました。これからまちがどう賑わいを見せていくのかが楽しみです。